役割が人を育てる
「優秀な人材」という言葉を目にすることがあります。
企業は「優秀な人材」を採用しようとします。
採用された社員は「優秀な人材」を目指します。
「優秀な人材」とは評価の高い社員のことです。
評価の高い社員ほど、組織の中でより高い地位に就くことができます。
組織のヒエラルキーは、このように形成されていくのです。
当たり前と思うかもしれません。
しかし「優秀な人材」とは、組織内での相対評価でしかありません。
業種ごとに評価基準は異なります。
企業単位でも評価基準は異なります。
そして何より、上司によって評価基準は大きく異なるのです。
つまり「優秀な人材」ほど曖昧な概念はないということなのです。
SNSを見ていると、このような投稿をたまに見かけます。
「無能な社員は排除すべきだ」
「優秀な社員をもっと優遇すべきだ」
「無能な社員を優遇していたら、優秀な社員のモチベーションが低下する」
このような意見を持つ人は、組織内で比較的上位にいるのでしょう。
会社員として順調に出世した人なのかもしれません。
「あんな社員に給料を払うくらいならもっと自分を優遇しろ」
これが本音なのだと思います。
この意見には強い違和感があります。
自称「優秀な社員」が「無能な社員」という言葉を使うことの違和感です。
本当に優秀な人は、自分以外の社員を無能扱いすることはありません。
どうすればパフォーマンスの底上げにつながるのかを考えます。
パフォーマンスの底上げこそが組織活性化につながると考えるからです。
「無能な社員」の待遇が自分自身のモチベーションに影響するのは、そもそも優秀な人材の発想ではありません。
自分自身の待遇に不満があるなら、転職や起業により別の世界で勝負すればよいのだと思います。
もう一つの違和感とは「役割が人を育てる」視点の欠如です。
人を成長させるのは評価ではありません。
人を成長させるのは与えられた役割です。
ですから、役割を先に与えあとで評価すればよいのです。
役割を先に与えることは、公平にチャンスをあたえるきっかけにもなります。
しかし、ほぼすべての企業で導入しているしている人事制度は全く逆です。
評価が先で役割があとなのです。
理由は簡単です。
後者は前者に対し制度設計がシンプルだからです。
前者は「公平にチャンスを与える」プロセスが追加されますので、制度そのものが煩雑かつ複雑なものになる可能性はあります。
だだ、どうでしょう?
現状の人事制度が、多くの会社員にとってストレスの原因となっているのであれば、逆転の発想で制度自体を見直してみるのも価値があると思うのですが。
お気軽にどうぞ!
↓ ↓ ↓ ↓ ↓