収入とモチベーションの関係
人間にとって「下がる」ことは「上がる」ことより強いインパクトがあります。
上がるときは、過去の自分や他人と比較することがありません。
一方、下がるときは、過去の自分や他人と比較してしまいます。
結果「どうして自分だけが…」と自分を責め、他人に嫉妬するのです。
会社員の世界にも「上げ下げ」は存在します。
企業は通常、相対で社員を評価します。
等級やグレードを付け、職位を当てはめます。
評価のアップダウンは、その後の昇格や降格に影響します。
昇格や降格は毎月の給料に影響します。
「下げ」を経験すると惨めな気持ちになります。
周囲と比較して「どうして自分だけが…」と考えてしまうからです。
他人との比較により、事実は極端な方向に振れていきます。
他人との比較は、感情が入り込むからです。
感情は、事実をゆがめてしまうのです。
仕事をするうえで「いくら稼げるか」は重要な要素です。
就職活動をする際「初任給」や「モデル賃金」は気になるところでしょう。
アルバイトを探すときも「時給」は、重要な要素の一つです。
僕がパチンコ業界で働こうと決めた理由も、やはり「初任給」や「モデル賃金」の高さでした。
「モデル賃金」というより、「入社すれば、20年後は経営幹部」「上場すれば億万長者」などという採用担当者の話を信じて即決しました。
僕の年収は、40歳の時点で1000万を超えていました。
入社時の2倍以上になりました。
会社員としては恵まれているほうだったのかもしれません。
ただ、入社時に比べモチベーションも2倍以上になったかというと、そんあことはありません。
むしろモチベーションに大きく影響したのは、業務内容や業務範囲それに上司との相性でした。
つまり、モチベーションを上げる最大の要因は「必要とされている」感だったのです。
「必要とされている」と感じると、期待にさらに応えていこうとします。
「必要とされている」感は、仕事の充実感につながります。
「給料のため」ではなく「仕事のため」に仕事をするようになるのです。
収入面ではそれなりに順調だった会社員生活の転機となったのは、やはり降格でした。
年収はピーク時より20%以上減りました。
一方、モチベーションは完全に消滅しました。
20%減ではありません。
ゼロなのです。
「必要とされていない」感で頭の中が一杯になってしまったのです。
収入とモチベーションの関係をまとめるとこんな感じになります。
・収入とモチベーションは、連動するが正比例はしない
・「上げ」より「下げ」のほうがインパクトが強力である
・仕事がうまくいかなくなると、評価や収入を気にしだす
人には感情があります。
収入がモチベーションを大きく動かしているのではありません。
収入はただの事実です。
モチベーションを大きく動かすのは感情なのです。