給料が上がらない
パチンコ業界で働くことに良い印象を持っている人は少ないと思います。
・反社会的勢力とのつながり
・遠隔操作
・脱税・・・
僕がこの業界に入った二十数年前、業界に対するイメージといえばネガティブなものばかりでした。
「お前をパチンコ業界にやるために大学にいれたわけではない!」
パチンコ好きの親でさえ、入社には猛反対しました。
「遊ぶ」と「働く」では話が違うということなのでしょう。
父親に反抗したのは、このときが最初で最後でした。
まともな人間が働く業界という認識ではなかったのだと思います。
一方
・東京で仕事がしたい
・お金持ちになりたい
・「普通ではない」業界で仕事がしたい
こんなことばかり考えていた僕にとって、パチンコホール業界は、3つの条件をみごとに満たしていた数少ない業界でした。
・上場の準備はすでにできている!
・株を持っておけば億万長者だ!
・君たちは20年後の経営幹部だ!
入社説明会に来ていた営業部長の話に引き寄せられ、入社を決めました。
営業部長のお話は少々大げさではあるものの、嘘ではありませんでした。
入社後、店長を卒業するまでの約6年間、僕は複数の店舗を経験しました。
入社当時の職場環境と今を比較してみます。
≪入社当時≫
・休みの日も閉店後は必ず店に行く
・早番の日も閉店後は必ず店に行く
・上司の仕事が終わるまであがれない
・サービス残業(というより居残り)の横行
≪現在≫
・休みの日に職場に顔を出すことはない
・予定時間外に働くことはない
・退勤後、職場に残ることはない
・残業代は1分単位で支払われる
入社当時の労働環境といえば、限りなくブラックなものでした。
この現実を事前に知っていたら、入社していなかったかもしれません。
ただ、僕が営業現場で働いていた頃は、業界自体非常に勢いがあり、出店が加速していた時期でもありました。
極端な話「がんばる」というより、長い時間店にいれば出世できたのです。
大卒での新卒入社から現在までの給料をリアルに書いてみるとこんな感じです。
・入社時‥初任給約24万
・28歳‥店長650万
・30歳‥エリアマネジャー750万
・35歳‥エリアマネジャー850万
・38歳‥本部担当リーダー900万
・40歳‥本部担当リーダー1050万
・42歳‥本部担当900万
・45歳‥本部担当850万
40代前半までは「授業員持株会」の配当が年間約150万ほどありましたので、その分を収入に加えるとピーク年収は約1200万程度です。
給与水準としては比較的高い方だと思います。
むしろ注目してほしいのは、ピークを越えてからの落ちっぷりなんですね。
ちょうど40歳になるころ、新しい人事制度が導入されたのです。
労働環境自体は劇的に改善されたものの、評価が下がると降格の可能性が一気に高まる従業員から見ればとてもリスキーな制度でした。
新しい制度の導入により、年功序列的な要素が完全に取り除かれたわけです。
僕自身もこの大きな流れに飲み込まれてしまいました。
業績が頭打ちになると、経営は人件費にメスを入れてきます。
ごく一部の社員を昇格させるためには、それを上回る降格者が必要となります。
結果、組織のヒエラルキーはより強固なものとなります。
少数の「勝者」と多数の「敗者」
残念ながら、組織の中で一度「敗者」となってしまった社員の給料が再び上がることはありません。