迷走し続ける40代
40歳、年俸社員への昇格が事実上消滅した僕は、完全に目標を失いました。
何より、定年まで同じ会社で働き続ける自分を想像することができませんでした。
頭の中には将来に対するぼんやりとした不安だけがありました。
組織の中に埋もれていく自分の姿を想像しては苛立ちを覚えました。
この状況を打開する方法はないかと考えました。
選択肢は3つありました。
「転職」と「副業」それに「投資」でした。
まず始めたのは転職活動でした。
転職サイトから、気になる会社全てに応募しました。
業界や業種は関係ありませんでした。
「これだけのキャリアがあれば」
正直、転職はすぐに実現すると考えていました。
しかし、現実は甘くありませんでした。
100件程応募し、面接まで進めたのはわずか5~6社でした。
内定をいただいた会社があったのも事実です。
ただ、入社には至りませんでした。
一番のネックは、やはり収入でした。
3割から4割の収入減を覚悟しなければならなかったからです。
何より、家族を説得するだけの理由と自信がありませんでした。
仕方なく、転職活動を一旦やめることにしました。
転職を諦めかけていたころ、目に留まったのが副業の世界でした。
きっかけはSNSだでした。
当時の僕は、SNSを通じ交友関係を広げようと積極的に社外の人に会っていました。
その中である人から紹介されたのがMLM。
ネットワークビジネスと呼ばれるものでした。
あくまでイメージなのですが、この世界にはあまり良い印象を持っていませんでした。
かといって、他に選択肢があるわけでもありませんでした。
何をどうして良いのかがわからず迷走し続けていた僕は、紹介者に言われるがままセミナーに参加することにしました。
200人以上はいたでしょうか。
会場は超満員でした。
セミナーでは、いわゆる「成功者」の話を聞きました。
その収入から生活まで、自分とは全く異なる世界にいる人だと感じました。
驚きというより、羨ましいと思いました。
「いつかは自分もこの人みたいに」
迷いはありませんでした。
「これで成功して、会社辞めるぞ!」
すぐに入会し、活動を始めました。
「とにかくパートナーを増やさなければ」
SNSで知り合った人に片っ端から会うことにしました。
半年ほど活動してみたものの、パートナーを増やすことはできませんでした。
当然、収入を得ることもできませんでした。
「やはりダメか」
諦めかけていると、紹介者は別のビジネスを紹介してきました。
「こっちのほうがより早く稼げるよ」
こんな話にやすやすと乗ってしまいました。
しかし、結果は同じでした。
結局、ネットワークビジネスを3つ経験したものの、収入はゼロ。
ある意味立派な結果だと思いました。
副業のハードルは、転職以上に高かった。
結局、かろうじて収入に貢献しているのは、株を中心とした投資だけでした。