繰り返されるパワハラ
パワハラで有名な社員がいました。
彼は2年ほど前まで、ある部署の部長をしていました。
順調な出世の裏で、彼には数々のパワハラ伝説がありました。
「ミーティングの際、机を蹴って事務所を出ていった」
「店舗の入口にゴミが落ちていたことで2時間説教された」
等々、一緒に働いたことのある部下は口を揃えてこのような話をします。
部長昇進後もパワハラは治まることがなく、むしろ勢いを増していったようです。
特によくないところは、パワハラの相手を選んでいたところです。
専門知識を持った中途社員に対してはいたっておとなしく、パワハラ上司とは別の一面を見せていたようです。
専門知識では、彼らにかなわないと感じていたからなのかもしれません。
そしてついに、彼はパワハラで懲戒処分を受けることになりました。
「他部署の担当者に対しパワハラ的な言動があった」
直接の理由はこのような内容でした。
彼は部長職を解かれ、降格となりました。
降格後の彼は子会社に異動することに。
ただ、肩書は残りました。
新しい彼の肩書は代表取締役。
つまり、社長に就任したのです!
それから約2年、彼の情報を久々に目にすることになりました。
「退任」とだけ書かれていました。
今回はクループとしても救いようがなかったようで、クビになったようです。
退任の理由はやはりパワハラでした。
「やっぱりね」
驚きはありませんでした、
20年以上会社員をしているとパワハラ上司にはいくつかの共通点があります。
- 処分を受けてもやめられない
- 社内の上下関係が絶対的だと考えている
- 自分が考えていることがすべて正しい
- 自分の考えから少しでもずれた意見を受け入れない
- 特定の部下に対する攻撃が特に強い
つまり、自分の考えが絶対的であるため、パワハラとの認識が極めて希薄なのです。
10代、20代でこのような面を持つのは、仕方ない部分もあるとは思います。
40代になってもパワハラ的言動がやめられないのは、コミュニケーション能力が著しく劣っていると言わざると得ません。
不祥事を起こしてしまう社員以上に問題なのは、組織の体質です。
パワハラで処分を受けた社員は、部下を持たせるべきではありません。
同じ過ちを繰り返すからです。
同じ過ちを繰り返すということは、パワハラに苦しめられる部下が増えてしまうということです。
にもかかわらず、このような人事異動をゆるしてしまうのは「上に甘く下に厳しい」からです。
この社長のようにパワハラが繰り返されても「任命責任」を問われることはありません。
パワハラを法律で規制しようとする流れがあります。
社内でも役職者を対象としたパワハラ研修があります。
このような手段を用いても、パワハラはあまり減らないでしょう。
パワハラとは個人の問題である以上に組織の問題なのです。