潜在的パワハラについて
一緒に仕事をするメンバーと、過去の上司について話すことがあります。
その中で必ず話題となるのは、上司のパワハラ度です。
「焼肉をおでこにつけられた」
「ミーティング中に靴が飛んできた」
「必死に作った資料をその場で捨てられた」
「一度説教が始まると2、3時間は帰れない」
「3コール以内に電話に出ないと怒鳴られる」
「上司が出勤すると、事務所で何も話せない」
メンバーとの会話の中で実際に出てきたものです。
これらの言葉だけを切り取って、パワハラを議論するつもりはありません。
ただ、会社員を長年続けていると理不尽な経験をするものです。
僕が電子書籍を書いた直接的なきっかけも、理不尽な経験によるものでした。
パワハラで考えなければならないのは「パワハラの定義や基準」ではありません。
「人はどのようなときに精神的ダメージを受けるのか」ということです。
つまり、被害者側の立場で考えることが重要なのです。
上司に「バカ」と言われた
上司に「辞めてしまえ」と言われた
不適切な表現ですよね。
ただ、これらの言葉を一度や二度かけらえただけで精神的に病んでしまうことはまずないと思います。
一方「たった一度の失敗が原因で今までの成果を全否定され、最低評価に下げられた」
この場合の精神的ダメージは、前者の比ではないと思います。
自己肯定感が著しく低下してしまうからです。
つまり、人間は組織の中で「自分は必要とされていない」と感じたときに最も強い精神的ダメージを受ける生き物なのです。
実際、僕が精神的ダメージを受け「適応障害」と診断されたのも、評価急落とその後の降格によるものでした。
しかし「評価ダウン」自体がパワハラに認定されることはありません。
「評価は仕事の成果をもとにつけられるもの」という前提があるからです。
過去にこんな上司がいました。
・暴言や暴力は一切ない
・部下の行動は常に監視している
・上司の意に反する行動をとるとその都度叱られる
・特定の部下にたいしてのみ厳しい
・特定の部下に対してはむしろ優しい
僕は「厳しくされた側」の社員でした。
厳しい監視のもとでやりたいことがやれず、言いたいことも言えませんでした。
上司と顔を合わせるのが苦痛になりました。
極度のストレスを感じるようになりました。
仕事のパフォーマンスが下がっていくのが自分でもわかりました。
結果的に評価の急落を招いたのです。
評価は仕事の成果なので、受け入れるしかありません。
ただ、著しく部下のパフォーマンスを下げさせた上司に責任はないのでしょうか?
この上司は、当時の部下から複数回、言動がパワハラに当たるとして通報されたようです。
しかし、会社から処分を受けることはありませんでした。
「潜在的パワハラ」に悩む人は「パワハラ」で悩む人よりはるかに多いと思います。